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松尾特許事務所 | 地財コラム
■ 特許出願かノウハウ保護か ■
(1)新規な技術情報について、それを特許出願するか営業秘密としてノウハウ保護するかの選択の問題があります。この選択の判断においては、一般に、検出可能性の有無が大きな判断基準とされています。すなわち、製品を分解したり分析したりすることで対象の技術を実施していることが検出可能な場合は特許出願をし、検出が不可能ないし著しく困難な場合はノウハウ保護をするという考え方が一般的です。
 特許出願かノウハウ保護かの判断を誤ると、秘密の技術情報が競合他社に流れてしまったり、独自の技術情報だと思い込んでいたものが他社により特許権を取得されその使用が制限されてしまったりするおそれがあります。

(2)特許出願をすることで、特許権を取得することができれば、特許権の独占排他的な効力によって競合他社の実施を市場から排除することができます。
 また、特許出願をすることで、特許公開公報や特許公報により発明者の氏名や特許権者の名称(会社名、個人名)が公表されることになります。インターネットが普及した現在ではこの公表の効果は世界的とも言えます。これにより、発明者については、名誉が顕彰され、発明創作意欲の向上や技術開発のインセンティブが得られ、権利者である会社は、市場において技術開発等について一定の評価を得ることができます。特に、中小企業の場合は、特許権を取得することが、取引先や顧客の信頼性の向上や会社のPRに繋がるといった効果があります。

(3)一方、ノウハウ保護については、ノウハウを営業秘密として維持している有名な事例として、コカ・コーラの飲料の成分や、ゼロックス社のコピー機等が挙げられます。
 営業秘密は、所定の要件を満たすことで、不正競争防止法上の保護を受けることができます。不正競争防止法では、営業秘密は、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。」と規定されています(不正競争防止法第2条第6項)。すなわち、非公知性、有用性、および秘密管理性の3つの要件を満たす情報が、営業秘密として不正競争防止法による保護を受けることができます。営業秘密に関する訴訟等においては、対象となる情報がこれらの要件を満たすか否かにより保護すべき情報であるが否かが判断されます。
 したがいまして、ノウハウについては、上述のような営業秘密としての3つの要件のいずれかを満たさない場合、そのノウハウは無価値、言い換えると他人に真似されても文句を言えないものとなってしまいます。このような事態を避けるためには、保護すべきノウハウが何であるかを見極めて明確に把握し、そのノウハウについて十分な秘密管理を行う必要があります。

(4)また、必ずしも特許出願かノウハウ保護かの二者択一ではありません。例えば、技術のアウトラインについては特許出願をすることによりそのメリットを享受しつつ、その技術を実施する際の細かいノウハウは出願の中身には含めずに営業秘密として保護するという選択もあります。
 知財を戦略的に活用するうえで、特許出願とノウハウ保護は事例に応じて使い分けることが重要となります。

[8] 03月10日 13時23分
■ 特許庁に対する中間手続に関して ■
1 特許庁に対する中間手続の代表としては、出願後に拒絶理由の通知を受けとったとき期間内に提出する意見書、手続補正書がある。
 ここでは、ほとんど先行技術としての引用文献が示されており、出願した発明との対比結果が審査官から示される。
 そこで、出願人としては、明細書に記載された技術との差異が明確にあれば意見書でその違いを説明し審査官に理解して貰うことが必要となる。

 これには二通りのパターンがある。
 1パターンは、審査の対象となった特許請求の範囲をそのままにして意見書の説明のみによって引用文献記載の技術との差を明らかにする場合である。
 この場合は、だいたい審査官の発明に対する理解不足であったり、引用文献の読み方が間違っていたりする場合である。すなわち、審査官の審査に問題があった場合である。
 かかるパターンは少ないがときどき見受けられるので特に引用文献は良く精読しておくことが必要である。

2 2パターンは、審査の対象となった特許請求の範囲のままでは引用文献記載の技術と差が出てこない場合である。
 この場合は、特許請求の範囲の記載を限定して引用文献との差異を明確にする。すなわち、手続補正書により特許請求の範囲や明細書の内容を訂正する。
 但し、あまりに引用文献との差を強調するあまり張り切りすぎて最初の出願の明細書に記載されていない用語や説明までも特許請求の範囲に盛り込むという失敗をすることがある。
 これを要旨変更の補正といい、中間手続で最も気をつけなければならないことである。

 最近ではかなり要旨変更の判断基準が緩やかになったが、基本的には最初から明細書や図面に記載していない事項は後から一切手続補正書に加入することができないことを肝に銘じておかねばならない。
 数年前までは、明確に最初から明細書に記載された文言がない限り一切特許請求の範囲に追加できないと判断されていた(これを一義的、直接的な記載がない限り補正不可といわれていた)が、最近は「図面」から読み取れる範囲であれば文言の追加修正が可能となり、出願時の発想の読み取れる範囲で補正が可能になり従来に比べて補正の幅が広がった。

 しかし、出願人とすれば、出願時に細心の注意を払い、可能な限り発想としての広がりを検討して多種多様の実施例を最初から明細書に記載しておく必要がある。

 往々にして代理人なしで出願した明細書に3ページ以下のものを見受けるが、これでは実施例の記載が十分になされていないため拒絶理由がかかって補正をしようにも特許請求の範囲を限定する新たな付加事項がなく大いに苦労しなければならないケースが出てくる。
 いかに出願時の明細書の記載が重要で、かつ十分な記載が求められているかが分かるというものである。

3 これが一般的な中間手続であるが、本編ではかかる中間手続に関して上記の第2パターンの実務上のノウハウを少し説明したい。
 弁理士の出願明細書では特許請求の範囲の記載をできるだけ広い範囲で記載する。
 出願人からみると広すぎてこのままでは特許査定の可能性が低いと感じる場合もあることでしょう。
 しかし、これはプロとして必要なステップと考えている。なぜならば、出願前に事前調査しても審査官がいかなる公知文献を引用してくるかは出願時には不明である。
下手に特許請求の範囲を絞り込んでそのまま特許査定になるともっと広い特許請求の範囲でも特許査定になったのではないかとの反省が残る。
 その点、広い特許請求の範囲で出願して類似の引用文献がかかった方がその後の補正の段階で特許請求の範囲の限界を知り得る。
 これは、実際に特許権を使用するとき、例えば、侵害問題が生じた場合の権利範囲確定時になぜこのような特許請求の範囲の記載にしたのかの理由が明確になる。仮に、絞り込んだ特許請求の範囲でいわゆる一発許可(一度も拒絶理由がかからなくて特許査定)になった特許権の場合には、出願時にその権利の範囲(限界)にした理由がつかない。
 代理人弁理士にとって非常に悩ましい問題である。下手をすると代理人の責任問題にまで発展する。
 このように中間手続の対応は代理人弁理士の最も力を発揮できる場でもあり、また、最も責任を問われる場でもある。この対応に日夜心血を注いでいるのが弁理士といっても過言ではない。

[7] 11月06日 11時06分
■ 商標登録出願の必要性 ■
1.商標とは、いわゆるブランドです。
  自分が取扱う「商品」や自分の「商売」について使うブランドです。

  この「商標」とは、面白い面がありまして、使っているうちに有名になって、誰でもそのブランドを聞いたり見たりすれば、「あー、あの商品か」「あー、あの会社か」という程に有名になると別に商標登録出願をして商標権を取る必要はないのです。


2.そこで問題は、有名になるまでの間、自分の使用するブランドをどう保護するかです。
  そのためには、商標登録出願をして商標権を取っておき、他人から商標権侵害といわれない、模倣ブランドに対しては使用差止の請求をできるようにするしかないのです。


3.勿論、商標登録出願は、早い者勝ち(先願主義)です。
  そこで、重要なことは、他人が先に出願していたり、すでに登録していないかどうかを調べる「商標調査」です。
  商標登録出願とは、特許庁に自分が取りたい商標を申請して登録してもらい商標権を取得するための手始めの手続です。
  すべての商標権は、商標登録出願をすることなしには取得できません。


4.そして、商標登録出願をするに際しては必ず「先願、先登録商標」の有無を調査することになるのです。
  現在は、IPDLという特許庁のデータベースがありますので、これでほとんどの調査が行えます。
 ただ、図形デザインのブランドはこのデータベースでは調査が完全には行えませんので、別途民間企業が有するデータを有料で使うしかありません。

5.一口に調査と申しましても、単に「同一商標(ブランド)」があるかないかという単純な調査でないところが問題です。
  商標権は同一だけでなく類似の商標にまで権利効果が及ぶので「類似」商標か否かの判断をしなければなりません。
  この類似するか否かの判断こそ、私共弁理士の専門的な活動の場でもあります。「類似」の正確な判断をしてこそ重要な商標が取れるし、先登録の商標があれば類似しない新しい商標を創作する知恵をお貸しすることができるのです。

どうぞ、調査の段階から弁理士にご相談下さい。

[6] 10月06日 14時36分
■ 特許権侵害事件の特殊性 ■
1.特許権を取得した後にたび々起こる問題は、模造品が市場に出てくることです。
 どのように対処致しますか?

 一般にこのような模造品が出てくることを特許侵害と言っています。


2.通常は侵害を中止するように警告文を内容証明郵便で送ります。
だいたい、警告文に素直に従う相手はあまりいません。
もっとも多い返信は「警告のような特許侵害にはなりません」又は「あなたの特許権はすでに出願前から知られた技術であり無効のものです」というものです。


3.では、その後の手の打ち方は?

 裁判をするしかありません。裁判所に訴訟を提起(特許訴訟)して特許侵害(模造品の製造又は販売)を中止する判決文を貰うしかありません。
 もっとも、裁判の途中で双方話し合いの上、又は裁判所の周旋で和解をするという手もあります。


4.特許訴訟をする場合は、「管轄」というものがあって、自分の好きな場所の裁判所で特許訴訟をするという訳にはいきません。

 東京地方裁判所と大阪地方裁判所の二つの裁判所でしか特許訴訟をすることができません。
 東京、大阪以外の地域にいる人々にはとても不便です。
 これは東京と大阪の裁判所には、特許訴訟を専門的に取扱う裁判の部署があるため特許侵害訴訟のように専門性のある、特に技術にかかわる争いは東京とか大阪の裁判所でなければならないとしたものです。

5.訴訟を提起すると必ず準備手続という経過の中で争点の整理や原告、被告の主張書面を提出します。すぐに法廷での争いにはなりません。
 この準備手続とは予め法廷以外の裁判所内の部屋で原告、被告が互いに自分の主張をし合うようにした手続です。
 特に、特許訴訟の場合は、技術説明会が準備手続の中で行われる場合が多いようです。特許技術の内容と侵害した製品の技術について原告、被告から技術説明をさせて裁判官に正確な技術の理解をさせるものです。

6.このように、特許訴訟は技術に関する争いであるところに特殊性を有しています。
 そして、まずは特許権の権利の範囲、言い換えれば特許技術のボーダーラインを確定することから始まります。
 そういう意味でまずは特許権を取得する時にしっかりした権利をつくることが重要になります。そこに弁理士の責務があります。
 私共も、いい特許を取得するために努力し、反省し、更なる飛躍を目指している毎日です。

[5] 09月05日 16時56分
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